【日本国籍と朝鮮戸籍】

 戦前、日本は朝鮮人の日本人化(皇国臣民化)を強要する一方で、婚姻・戸籍などでは日本人との同化を認めないという二重基準的差別で対応していた。

 1910年(日韓併合)以後、すべての朝鮮人は強制的に日本国籍を持たされ、日本人(大日本帝国の臣民)となった。しかし、それは、日本人とは別途の「朝鮮戸籍法」が適用された「日本人」であって内地人(日本人)とは区別された外地人(朝鮮人)であった。

 朝鮮半島だけでなく、日本および中国(旧満州)に居住していた朝鮮人を含むすべての朝鮮人を「朝鮮国籍」と記載したため、たとえ日本に帰化したとしても(日本の敗戦後)、その戸籍から朝鮮人であることは分かった。

 朝鮮戸籍から日本国籍への移動は、婚姻・養子・認知による入籍以外は認めなかった。朝鮮解放後の1947年5月、外国人登録法が施行され、暫定処置として登録戸籍欄に「朝鮮」と記入することになり、日本人でもなく外国人でもない中途半端な存在にされた。

 しかし、1952年4月28日にサンフランシスコ条約が発効するまで、在日朝鮮人は一定のカッコ付きでの「日本国民」であった。

 なお、公文書上での「韓国」の用語は、1950年4月以降のことである。それまではすべて朝鮮であった。

(文:愛媛現代朝鮮問題研究所)