【書評】「たかし言質論第4集 朝鮮問題へのレッスン」書評『朝鮮分断の真実を知る』

「たかし言質論第4集」では、朝鮮半島分断に関する歴史や朝鮮分断の要因となっている政治勢力を明らかしているほか、朝鮮戦争停戦協定までの歴史を読み解く中で、米国が朝鮮に対して行なってきた犯罪性についても考察されている。

先生は、本書を通して我々日本人に正しい歴史認識や政治観を見つめ直す機会を与えてくれた。

そして、今を生きる人々はその真実を知った上で、主体的に考え行動していく必要があると教えてくれた。

本書では、まず、朝鮮半島の平和と安定を妨害する米国の軍産複合体制について説明されている。

米国複合体は、世界各国の政権を動かす力を持っており、この利権に群がる資本家や米政府高官らは自らの体質・体系を保持するために米国や同盟国の脅威となる敵対勢力(アジア地域では朝鮮や中国)を必要としている。

つまり、朝鮮を危険な国だと印象操作することで米国の利権を守ろうとしている。こうした事情があるため今日まで朝鮮半島問題が解決されないのだと考えさせられる。

次に、第二次世界大戦以降、朝鮮民主主義人民共和国と大韓民国という2つの政府が成立した背景について説明されている。

米国は、反共戦略のため国連の場を利用して南朝鮮で単独選挙を実施し、李承晩政権を誕生させた。

対して、金日成は南北朝鮮の代議員からなる最高人民会議を開催し、朝鮮民主主義人民共和国を樹立した。

こうした歴史を知ると、どちらが本当に朝鮮人のための政府であるかは明確ではないだろうか。

また、日本や韓国の政治家と違い、民族のために圧倒的軍事力を持つ米帝と果敢に戦う金日成の姿が目に浮かびはしないだろうか。

朝鮮半島に2つの政府が誕生した後、朝鮮戦争が始まる。日本を含む西側諸国では朝鮮が38度線を突破して韓国領に侵入したとされているが、真実はそうではない。

こうした説は、米国の朝鮮侵略を正当化するために、米国が作り上げたストーリーであることが解説されている。

米国が李承晩政権を利用して反共政策を推し進める中、朝鮮では戦争の危機を防止するために8.15解放5周年を祖国の統一で迎えようとするなど対策を講じていた。

そんな中、米国は法的根拠もないまま朝鮮侵略を推し進め、朝鮮の軍事的統一を目指したのである。なお、本書で記されている米軍の朝鮮人に対する集団虐殺行為は、目を背けたくなるほど極めて残酷で無慈悲なものであった。

しかし、今を生きる人々は、たとえ残酷であったとしても真実を知る必要がある。

米国が行なってきた朝鮮侵攻の歴史について、どれだけの人が正しい認識を持っているだろうか。また、卑劣な米帝国主義政策に対し、真っ向から批判し戦っていた金日成の功績を知っているだろうか。

朝鮮戦争によって多くの人命が失われた反面、米帝の圧倒的な軍事力に対抗するためには、思想の団結が不可欠であることが実証された。

これら朝鮮分断の歴史を紐解くことで、今の日本人及び日本国政府に欠けているものが何か見えてくるはずである。

(文:愛媛現代朝鮮問題研究所)